非線形CAE勉強会

第21期非線形CAE勉強会・シラバス

 

第4日目(2012/6/10,9:30〜16:35)
 分解と再統合の実践(高速引張試験を題材にして)
 (中央大学駿河台記念館)

4-1 4日目イントロダクション:CAEにおける分解と統合
〔瀧澤英男(三菱マテリアル)〕

V&Vは実験との比較によってCAEの精度を保証するための取組みの体系的枠組みであり,実験の代替としてCAEを使うという考え方が明瞭に示されている.しかしながら,この手法の根底にある考え方は「分解と統合」であり,複雑なことを分解し,理解を積み上げることに他ならない.CAEの基礎データとして不可欠な材料試験を題材にして,「複雑な現実」を見ながらCAEの中で考えるべき「分解と統合」について検討する.

  1. 複雑問題に挑戦するためのCAE
  2. CAEにおける分解と統合
4-2 金属加工技術者から見た樹脂の材料試験
〔西脇武志,村田真伸(名古屋市工業研究所)〕

金属製品の代替として樹脂製品の変形解析が検討されるようになってきた.しかしながら樹脂の塑性変形解析を行うために材料試験を行うと,同じ計測装置では単軸引張の真応力すら求めることができず,金属との違いに戸惑うことが多い.材料試験事例を通して,樹脂物性取得の難しさについて説明する.

  1. 樹脂の引張試験
  2. 樹脂の高速引張試験
  3. 樹脂の引張試験解析
  4. 材料試験からの材料パラメータの同定
4-3 高速引張り試験による鋼板のひずみ速度依存性評価
〔佐藤健太郎(JFEスチール)〕

自動車衝突時の部材の変形のひずみ速度は部位によって異なり,10-3/s〜103/sに分布すると推定されている. そのため,車体の衝突特性のCAE予測には,精度の高い応力ひずみ(SS)データが必要となる. 本講演では,各種高速引張試験装置により高強度鋼板のSS曲線を測定,比較結果を紹介し,各装置の特徴およびデータの使用上の注意点について述べる.さらに,測定されたS-S曲線データを基に,FEM解析精度向上のための材料の高速変形挙動についての各種知見を紹介する.

  1. 高速引張試験の重要性(自動車衝突安全性の観点から)
  2. 高速引張試験機の種類と原理
  3. 各種高速引張試験機の計測データの比較
  4. 各種自動車用鋼板のひずみ速度依存S-S曲線
  5. ひずみ速度依存性を考慮した衝突変形解析事例
  6. まとめ
4-4 非線形FEM解析への取り組み方
〜汎用FEMによる樹脂高速引張シミュレーションを例として〜
〔永井亨(MSC)〕

本講義の前半では,非線形FEM解析への一般的な取り組み方について概説する.後半では,非線形FEM解析の実践例として,2008年度から2010年度にかけて材料モデリング分科会の活動の一環として実施した,樹脂の高速引張試験及びそれを模擬した汎用FEMソフトによるシミュレーションの内容を紹介する.

4-5 材料非線形問題の分解と再統合
〜材料モデリングの視点から〜
〔只野裕一(佐賀大)〕

材料非線形問題は,CAEによる固体解析において極めて重要性の高い問題の一つである.材料挙動の非線形性は,多くの要因が複雑に絡み合った結果として観測される事象であり,単一のモデル,単一の解析方法で全ての現象を取り扱うことは現実的に不可能である.このため,対象となる現象を個別の要素に切り分け,取り扱いたい現象の本質をいかに抽出するか,ということが重要になる.本講義では,CAEにおいて材料非線形問題をどのように捉えるべきなのか,材料モデリングの観点から概説する.

  1. 材料非線形問題を構成する要素
  2. 材料モデリングの視点から見た分解と再統合
  3. 大変形非弾性解析の解析事例と考え方
4-6 4日目のまとめ:現実の模倣と設計
〔瀧澤英男(三菱マテリアル)〕

複雑現象の「ごった煮」状態である現実をどのように解析するか.解析技術という狭い枠の中で議論するのではなく,解析の目的や製造業の中での役割から見直してみたい.

  1. 材料試験という「法」と構成式からの「要請」
  2. 科学という「分解」と工学という「統合」
  3. 科学的な「手法」としてのCAE
4-7 総括
〔運営委員〕