非線形CAE勉強会

第24期非線形CAE勉強会・シラバス

 
シラバス
第4日目
 
勉強会の様子
 

第4日目(2014/1/26,10:00〜16:30)

4-1 汎用FEコードにおける破断現象のモデル化 I
〔LS-DYNA:齋藤啓(JSOL),ANSYS: 山本晃司(サイバネット),Abaqus:小林卓哉 (メカニカルデザイン)〕

これまでの強度シミュレーションは,破壊が生ずる以前の応力の状態を解析し,破壊発生の可能性を検討することに主要な重点があった.しかしながら設計合理化の要求から,破断発生予測の高精度化や,破壊発生後の残存寿命の予測が昨今の重要な課題となっている. この講義では,各種ソフトウェア取り上げ,最近の機能のなかから破壊挙動の表現に関する内容を概説する.要目は以下の通りである.

  • ■LS-DYNA
  •  ・LS-DYNAにおける破断/破壊の表現
  •  ・金属における破壊のモデル化
  •   −応力三軸度に依存した破壊ひずみの定義
  •   −ダメージモデルによる破壊基準
  •  ・ガラスの衝撃破壊
  •   −Non-Local理論を応用した破壊定義
  •  ・複合材における破壊のモデル化
  • ■ANSYS
  •  ・破壊・損傷の構成則
  •   −瞬間的破壊
  •   −段階的破壊(損傷)
  •   −界面剥離
  •  ・複合材料の破壊
  •   −マルチスケール解析の必要性
  •   −複合材料のモデリング手法
  •   −ANSYS Addinツール「Multiscale.Sim」
  •   −FRPの損傷進展解析
  • ■Abaqus
  •  ・Abaqusの破壊モデルの俯瞰(破壊力学と損傷力学から)
  •  ・VCCTによるき裂進展解析手法
  •  ・進行する損傷と破壊モデル
  •  ・直接周期解析手法
  •  ・これらを組み合わせた低サイクル疲労の解析
4-2 溶接残留応力変形シミュレーション
  −構造物の強度に及ぼす溶接の影響−
〔村川英一(大阪大)〕
  1. 溶接の結果何が起こるのか?
    • 熱の発生・拡散、溶融・凝固、相変態、膨張・収縮、塑性変形の結果として接合が実現されるが、過大な変形・残留応力、割れ、靭性低下が生じる場合もある
  2. 溶接シミュレーションに何を期待し、どのように活用するのか?
    • 現象の理解、要因分析と問題解決の指針、技能の技術化、設計へのフィードバック、試作の削減
  3. 溶接シミュレーションの現状
  4. シミュレーション活用のための基礎知識
    • ひずみの種類と固有ひずみ、固有ひずみの特徴と残留応力・変形
  5. 力学的シミュレーションの観点から見た溶接現象の特殊性
    • 移動局所非線形問題、三次元問題
  6. 目的に合わせたシミュレーション法の選択
    • 詳細な非線形過渡解析(熱弾塑性解析)と簡便な弾性解析(固有ひずみ法)の使い分け
  7. 溶接シミュレーションの例
    • ・圧力容器の多層溶接による残留応力の解析
    • ・大型構造物の溶接変形予測
    • ・低変態温度溶接金属を活用した疲労強度向上対策
  8. まとめ
4-3 配管構造設計基準の規定と破壊モード
〔水野貞男(エムエス配管解析技術)〕
  1. はじめに
  2. 破損事例の紹介
  3. 配管構造設計基準(告示501号)の規定と破損モード
    • (1) 内圧による破断
    • (2) 外圧による座屈
    • (3) 1次荷重よる塑性(曲げ)崩壊
    • (4) 繰り返し荷重による塑性ラチェット・崩壊
    • (5) 繰り返し荷重による疲労破損
  4. 設計解析の妥当性と安全性
    • (1) 解析の揺らぎ(誤差係数)
    • (2) 誤差係数と安全係数
    • (3) 解析結果の妥当性検証
  5. 設計解析における補足事項
    • (設計解析の考え方や思想・哲学について)
  6. まとめ
4-4 汎用FEコードにおける破断現象のモデル化 II
〔Marc:永井亨(MSC),nCode:奥村将崇(株式会社オムニ・ブレイン・コンサルティング)〕
  • ■Marc
  •  ・Marcにおける破壊現象のモデル化手法の俯瞰
  •  ・材料の損傷および破壊のモデル化
  •  ・き裂の発生および進展のモデル化
  • ■nCode
  •  ・疲労解析の基本的な考え方
  •  ・nCodeによる疲労解析
  •   −三つの入力: 荷重、材料、FE結果
  •   −寿命予測手法、亀裂進展
  •  ・荷重入力のデザイン
  •   −市場データから加振試験まで
  •   −振動疲労、加速試験
  •   −大規模モニタリング
4-5 総括
〔運営委員〕