非線形CAE勉強会

第27期非線形CAE勉強会・シラバス

 

「カスタマイズドCAE 〜機能追加によるシミュレーションの差別化〜」

第4日目(2015/6/28,9:30〜16:50)

4-1 汎用FEMの応用3
(内からのカスタマイズ:MSC Nastran DMAP)
〔真崎宏明(エムエスシーソフトウェア)〕

MSC Nastranの豊富な機能を、より深く活用する際に有用であるのがDMAPです。DMAPとは、「Direct Matrix Abstraction Program」の略語であり、Nastranで使用されるプログラム言語です。このDMAPを使って、Nastranの標準解析機能に変更を加えることにより、追加の解析実行、出力データの追加や形式の変更などが可能となります。また、マトリクス分割、固有値解析、データリカバリなどに使用できる、多くの内在する機能やモジュールを呼び出すことができます。DMAPの機能および適用事例などについてご紹介致します。

4-2 概念設計手法FOAによる考察支援
〔西垣英一(豊田中研)〕

解析対象が益々複雑になるなか、全体を俯瞰してあたりをつけるための設計手法の重要性に着目しています。

カスタマイズによる設計ノウハウの手順化や設計案の考察支援を行う仕組みづくりの構想案などを紹介し、概念設計段階でアイデアを一次近似的に評価することの価値を検討します。

検討例として以下の内容報告を予定しています。

  1. 設計対象に特化したカスタマイズ
    • サスペンション
  2. 考察支援 -簡易バンパの例-
    • CAE結果の俯瞰と梁理論による考察
4-3 Abaqusにおけるユーザー定義要素UELの利用について
〔長嶋利夫(上智大学)〕

汎用FEM解析プログラムAbaqusにおけるユーザ定義要素UELの利用方法について解説する.まず、陰解法による非線形有限要素法解析の手順を説明する.つぎにUELにおける接線剛性マトリクスと内力ベクトルの定義方法を示す.さらに具体例として二次元、三次元連続体要素、二次元、三次元結合力要素の実装例を解説する.

  1. 非線形有限要素法解析の手順
  2. 二次元、三次元連続体要素
  3. 二次元、三次元結合力要素
  4. 数値解析例
4-4 材料強度評価をめぐるCAEのカスタマイズ
〔苅谷義治(芝浦工業大学)〕

最近,汎用FEMを用いた延性材料の疲労破壊のシミュレーションのニーズが高まっているが,汎用FEMで弾塑性破壊力学パラメータを用いた疲労き裂進展解析が困難であるのが現状である.このため,弾塑性破壊力学パラメータ以外のパラメータを用いたマクロもしくはカスタマイズされた疲労き裂進展シミュレーションが注目されている.しかし,これらの解析の使いこなしは容易ではなく,シミュレーションの手法とそれに合わせた実験結果の解釈,もしくは実験の工夫が必要となる場合が多く,過去の疲労の実験データをそのまま使うことが出来ない場合が多い.ここでは,汎用FEMを用いた延性材料の疲労き裂進展シミュレーションとして代表的なManson-Coffin則を用いた方法とき裂進展則を用いた損傷発展手法を取り上げ,それらの使用上注意すべきことや,また,FEMに合わせた実験のカスタマイズなどについて取り上げる.

4-5 汎用CAEツールへの新機能組み込みについて 〜マルチスケール解析を例に〜
〔山本晃司(サイバネットシステム)〕

有限要素法を用いた汎用CAEツールにて、マルチスケール解析を実施しようとする試みは、マルチフィジクス解析と比較すると歴史は浅く、連続体力学で記述のできるメゾ-マクロ間のマルチスケール問題だけを見ても、統一されたツールとして利用できる製品は少ない。この問題を解決するためには、異なるCAEツール間をつなぐための「外的カスタマイズ」の視点に立った取り組みが重要となる。さらに、材料設計、とりわけ複合材料の設計現場の実運用に耐えうるツールとしての機能性を担保するためには、CAEツールの標準機能を超えた先進的な異方性材料モデルの組み込みをはじめとした「内的なカスタマイズ」も必要になる。

本講では、マルチスケール解析機能の実装を例に、汎用CAEツールのカスタマイズ手法について紹介する。

  1. マルチスケール解析とは
    • 1.1. 概要
    • 1.2. 解析フロー
    • 1.3. 均質化解析と局所化解析
  2. 汎用CAEツールのカスタマイズ
    • 2.1. ユーザーサブルーチン 〜 内的カスタマイズ 〜
    • 2.2. スクリプトによる自動化 〜 外的カスタマイズ 〜
    • 2.3. GUIのカスタマイズ
  3. マルチスケール解析システムの組み込み
    • 3.1. ミクロ構造のモデル作成テンプレート
    • 3.2. 周期対称条件
    • 3.3. 数値材料試験とマクロ応答
    • 3.4. 異方性材料構成則
    •  3.4.1. 材料モデルの組み込み
    •  3.4.2. カーブフィット機能の組み込み
4-6 オープンCAEの始め方
〜オープンCAEと簡単なカスタマイズの紹介〜
〔秋山善克〕

最近利用が活発になってきているオープンソースCAEについて代表的なソフトについて解説する。また、商用のCAEソフトと比較するとオープンソースCAEを利用していくのにはいくつかのハードルがあると感じている。本講演ではこれからオープンソースCAEを始めていこうと考えている方がオープンソースCAEをどのように使い始めればいいのか、そのきっかけになるような情報を提供する。

  1. オープンCAEについて
  2. 代表的なソフトの概要
  3. オープンソースCAEのカスタマイズ紹介
  4. オープンCAEの可能性
4-7 「総括」と「次回の予告」
〔運営委員〕