非線形CAE勉強会

第40期非線形CAE勉強会・シラバス

 

「理解にもとづく非線形CAEの活用 〜解ける問題・解けない問題〜」

第2日目(2022/6/11, 9:30〜17:00)

2-1 連続体の力学
※途中休憩時間を含む
〔京谷孝史(東北大学)〕
  1. Cauchy応力テンソルとつり合い式
  2. 変形勾配テンソル
  3. 有限ひずみテンソルと微小ひずみテンソル
  4. 構成則の役割(微小ひずみ理論を例に)
  5. 仮想仕事式
  6. 種々の応力テンソル
  7. および上記に関連した数学の基礎

※上記の内容を,4日間に分けて講義します

2-2 粒子法ならではのマルチフィジックス解析 -メッシュのない恩恵と困難さ-
〔浅井光輝(九州大学)〕

SPH、MPS法などの粒子法は、「メッシュを必要としない」ため、有限要素法などのメッシュ型解法で困難となる物体の分離・融合、大変形問題に有効となることが利点であることは書籍等の触れ込みで書かれている通りである。
この恩恵を受ければ、例えば固体が流体へと相変化する過程、あるいは激しい流体と固体の連成問題など、メッシュ型解法では解けない問題を豪快に解くことができる。一方で、境界条件の付与、高精度計算など、粒子法ならでは困難さもある。
この講義では、粒子法ならでは計算結果を紹介すると同時に、それに至るまでの困難さなどの裏側の解説をすることで粒子法の良いところ、これからまだ開発すべき事項の理解を深める。

  1. SPH・MPSの違いと共通点
  2. 高精度粒子法の最近の動向
  3. 流体・固体の連成解析事例
  4. 流体・粒子の連成解析事例
  5. 固体から液化する相変化解析事例
2-3 破壊現象は解けるか ― 破壊力学の適用範囲と疲労寿命予測技術の現状
〔柴沼一樹(東京大学)〕

疲労損傷は鋼構造や金属機器において最も頻発する経年劣化現象のひとつであり、このため多くの構造物や機器ではそれらを安全に運用するための規定や指針が定められている。しかしながら、現在の最新のCAE技術をもってしても疲労損傷による構造物/機器の寿命の定量的な予測は未だ容易ではないだろう。本講義では、疲労損傷による構造物/機器の寿命評価/予測を目的としたCAE技術の課題の変遷を、講演者の最新の研究成果とともに紹介する。

  1. 疲労損傷への破壊力学の適用(Paris則)
  2. CAEによる破壊力学パラメータ評価
  3. 疲労寿命予測に向けた課題
  4. 最新の研究紹介(マルチスケールモデルによる疲労寿命予測技術開発)
2-4 粘弾性/弾塑性解析の基礎と超並列計算への応用
〔西口浩司(名古屋大学)〕

鋼などの弾塑性体,ゴムをはじめとする高分子材料などの粘弾性体の大変形挙動の数値シミュレーションで必要となる構成方程式の基礎について解説する.そして,複雑形状を有する弾塑性体や粘弾性体の大変形挙動の数値シミュレーションに適したオイラー記述による構造解析の概要について解説する.最後に,スーパーコンピュータ「富岳」を用いた超並列計算への応用例(流体と粘弾性体の連成解析,弾塑性解析の深層学習によるサロゲート・モデリング)についても紹介する.

  1. 大変形問題における粘弾性体の構成方程式
  2. 大変形問題における弾塑性体の構成方程式
  3. オイラー記述による構造解析の概要
  4. スーパーコンピュータ「富岳」を用いた超並列計算への応用例