非線形CAE勉強会

第4期非線形CAE勉強会・シラバス・第2日目

 

第2日目:有限要素法 [ 2003年11月9日 ]

2-1 有限要素法の基礎(定式化と要素特性)
〔関口美奈子@ミシガン大〕(60)

有限要素法は、線形や非線形物理現象の数学モデルを近似的に解く有用な手法である。非線形CAEを勉強するにあたり、その基礎として、有限要素法の基本的な定式化、市販のCAEソフトに含まれる要素剛性(時間が許せば質量や減衰)マトリックスがどのようにして構成されているのか、また各要素の特性について説明し、必要な参考文献を提供する。さらに、非線形問題では重要になる要素のゆがみと有限要素近似精度について言及する。

  1. 有限要素法の定式化
    • ・仮想仕事の原理に従った、有限要素法の基礎となる定式化の導出
    • ・有限個の要素に離散化し、各要素での物理量(変位など)に関する有限要素近似(変位法)
    • ・要素剛性(質量)マトリックスとそのアセンブリ
  2. 市販CAEソフトで使われている各要素の理論とゆがみ特性
    • ・LS-DYNAの低減積分法とアワーグラス制御
    • ・ABAQUSの選択低減積分法
    • ・NASTRANやANSYSの応力/ひずみ仮定要素
    • ・これら既存の有限要素のゆがみと近似精度の関係
  3. 質量・減衰マトリックスについて
    • ・適合/集中質量マトリックスの作り方、またNASTRANのようにこれらの線形和
    • ・Rayleighの考え方に従った一般の減衰マトリックス
2-2 構造要素(はり・板・シェル)
〔石井恵三@くいんと・野口裕久・菊池昇〕(60)
  1. 構造要素の概要
  2. 板曲げ要素
    • ・Kirchhoff要素
    • ・Mindlin要素
  3. 平板シェル要素
    • ・板曲げ+平面応力要素
  4. 曲面シェル要素
    • ・シェル理論に基づく要素
    • ・3-D degenerated シェル要素
  5. はり要素
    • ・Bernoulli-Euler 要素
    • ・Timoshenko要素
  6. 要素精度の向上
    • ・各種 Locking の回避
    • ・平面応力要素の改善
  7. ベンチマーク解析例
2-3 接触・非圧縮問題
〔平郡久司@ブリヂストン・鳥垣俊和@日産自動車〕(50)
  1. 非圧縮性

    ゴム材などを有限要素法により解析する場合、体積が変化しないという非圧縮性に対する考慮を怠ると、正しい解が得られないケースがある。本講義では、この非圧縮性ロッキングに関する理論とその回避法について述べる。

  2. 接触問題

    接触や摩擦そのものを解析するにはもちろん、そうでない場合でも接触を考慮しないと境界条件を正しく設定できない場合がある。本講義では、接触や摩擦に関する理論、ボクセル法での接触の扱いなどについて述べる。

2-4 陽解法と要素
〔弓削康平@成蹊大〕(50)

動的解析における陽解法について基礎理論と要素について概説す る.陽解法では厳し い時間増分の制約を受けるのはなぜか,計算効率を高めるためにはどのような点を工 夫すればよいのか,また,陽解法ではなぜ低次要素が多用されるのかなどを述べる.

  1. 直接時間積分法の種類
  2. 陽解法の定式化(離散化,質量行列,減衰行列)
  3. 時間増分の制約
  4. 時間増分の制約に関する幾つかのトピックス
  5. 低次要素とその特徴
2-5 陰解法と要素
〔三原康子@メカニカルデザイン〕(50)
演習2 〔平郡久司・関口美奈子〕(50)
総説2 〔菊池昇〕(20)

( )内は予定講義時間(分)