非線形CAE勉強会

第29期非線形CAE勉強会・シラバス

 

「実験・計測とシミュレーションのクロスアプローチ」

第3日目(2016/7/16,10:00〜16:50)

3-1 イントロダクション
〔運営委員〕
3-2 波形信号と振動・騒音実験の基礎
〔井戸浩登(Siemens)〕

時々刻々と変化する波形信号を扱う振動や音響の解析では、シミュレーション結果を実験値と比較する際に知っておくべき「お約束事」がある。本来は、数値シミュレーションを実施する以前に「振動工学」や「計測工学」などで学ぶべき基礎的な要項であるが、最近は CAE ツールから解析を始めるエンジニアもいるため、実験データとの比較検証が上手くできていない場合が見受けられる。「実験では、なぜ実効値で信号レベルを表示するのか?、なぜ振幅の最大値で表記しないのか?」「伝達関数の計測データを入手した場合、どんな点をチェックすれば良いのか?」「なぜ、騒音減衰量(Noise Reduction)ではなく、透過損失(Transmission Loss)で評価するのか?」などについて解説する。

3-3 振動問題のCAE(実験と数値シミュレーション)
〔籾井秀斗(エステック)〕

動的現象の一つである振動現象は、各種工業製品の品質性能に大きな影響を与えることが多い。そして、その振動現象は製品開発の現場でしばしば問題となることがある。本講演では、それら振動現象あるいは問題に対するCAEの適用方法について概説する。具体的には振動実験の方法、有限要素シミュレーションや実験値との比較、シミュレーション精度の向上について紹介する。さらに、振動問題に対する対策検討の考え方やそれに必要となる分析手法について紹介する。

  1. 振動解析で対象とする現象
  2. 振動実験
  3. 振動解析
  4. 実験との比較およびコリレーション
  5. 振動解析結果の分析手法
3-4 減衰の計測と評価
〔中西康雅(三重大学)〕
3-5 マイクロピラー型試験とサイズ効果を持つシミュレーション
〔渋谷陽二(大阪大学)〕

試験片のサイズをマイクロメーターのオーダーにすると,その領域内に存在する初期欠陥,例えば転位密度が極端に少なくなり,欠陥間の相互作用が巨視的な変形挙動に直接影響を与える.結晶粒界という界面と転位の相互作用を調査するマイクロピラーの実験と,その解釈のための分子動力学シミュレーション,そして転位の物理を考慮したサイズ効果を持つ構成式モデルによる弾塑性有限要素シミュレーションについて紹介する.

  1. マイクロピラー型圧縮試験
    • 1.1 単結晶ピラーの塑性変形
    • 1.2 双結晶/三重結晶ピラーの塑性変形
  2. 粒界特性の定量化
    • 2.1 粒界相互作用指数
    • 2.2 粒界近接場の分子動力学法シミュレーション
    • 2.3 転位の物理を考慮した構成式モデルの弾塑性有限要素シミュレーション
3-6 デジタル画像相関法による樹脂の不均一変形状態の定量化と不均一変形のモデル化に関する研究
〔内田真(大阪市立大学)〕

材料の力学挙動をモデル化する際は応力とひずみを関係づける構成式が定式化される.材料パラメーターをフィッティングするためには,一般に均一変形下で得られた力学応答が用いられるが,樹脂のようにくびれなどの強い不均一変形を伴う場合,真応力と真ひずみを定量化することが困難となる.本講演では,不均一変形状態を定量化できるDICを用いて樹脂の不均一変形状態を定量化し,そこから真応力真ひずみ関係を評価した実例を紹介する.さらに,最近取り組んでいる,有限要素法とDICを組み合わせて材料に生じる変形場と応力場を同時に測定する手法についても言及する.最後に,不均一変形を表現するための高次構成式の定式化に関する研究を紹介する.