非線形CAE勉強会

第41期非線形CAE勉強会・シラバス

 

「基礎から学ぶ【解ける問題,解けない問題】」

第1日目(2022/10/22(土) 9:30〜17:00)

1-1 連続体の力学
※途中休憩時間を含む
〔京谷孝史(東北大学)〕
  1. Cauchy応力テンソルとつり合い式
  2. 変形勾配テンソル
  3. 有限ひずみテンソルと微小ひずみテンソル
  4. 構成則の役割(微小ひずみ理論を例に)
  5. 仮想仕事式
  6. 種々の応力テンソル
  7. および上記に関連した数学の基礎

※上記の内容を,4日間に分けて講義します

1-2 挨拶
〔寺田賢二郎(東北大学)〕
1-3 弾塑性問題を解くための基礎
〔瀧澤英男(日本工業大学)〕

汎用コードを用いて金属の弾塑性問題を解くことは日常の作業となってきているが,材料力学のテキストの数ページ程度で記載されている弾塑性モデルでは,計算の中身は容易に理解できない.この時間では,弾塑性問題の「解ける・解けない」を考えるために,弾塑性特性のモデル化の考え方を説明する.また,古典的な塑性変形の不安定問題である.引張試験におけるくびれ問題の基礎について説明する.

  1. 単軸応力状態での弾塑性変形
  2. 弾塑性構成式の多軸場への拡張
    • 2.1 降伏条件
    • 2.2 流れ則
    • 2.3 降伏条件と流れ則の「関連性」
  3. 単軸引張における不安定問題:Considère's necking criterion
1-4 塑性不安定解析
〔岡澤重信(山梨大学)〕

    引張金属片の塑性不安定現象を有限要素法で計算する方法を解説する。
  1. くびれ発生条件
  2. くびれ点の計算と不安定モードの導出
  3. くびれ進展の計算
  4. 形状効果
  5. 種々の塑性不安定現象
1-5 弾塑性理論の進歩 〜材料の固有寸法効果の導入〜
〔黒田充紀(山形大学)〕

塑性変形解析手法の主流は,1970年代後半にはすべり線場法等の "analytical methods/semi-analytical methods" から有限要素法に置き換わりつつあった.その後しばらくはコンピュータ性能の向上と共に有限要素法は目覚ましい発展を遂げ,汎用コードの開発・販売拡大を経て広く普及したが,次の2つの根本的矛盾に直面し続けていた.
 (1)実験では明らかに寸法効果(一般に "Smaller is stronger")が見られるのに解析では,寸法の大小による応答の変化を一切表現できない.
 (2)軟化材を仮定すると一般にひずみの局所化が予測されるが,同時に解の唯一性が消失し,著しいメッシュ依存性が現れる.
これらを解決する理論としてひずみ勾配塑性理論が提案・整備されてきた.本発表では,古典的塑性理論の限界,ひずみ勾配項が理論に必要な理由,理論構成の基礎,解析方法等を,応用例を交えて以下の流れで解説する.

  1. 基礎
    • 1-1. 古典的塑性理論の実力
    • 1-2. 材料のひずみ勾配効果(固有寸法効果)を塑性理論に導入すべき理由
    • 1-3. ひずみ勾配塑性理論
    • 1-4. どのように解くのか 〜有限要素定式化〜
  2. 応用
    • 2-1. ひずみの局所化を表現可能な現象論的塑性構成式
    • 2-2. 幾何学的必要転位密度を考慮した高次勾配結晶塑性理論
    • 2-3. 塑性ひずみ勾配の大きさに限界はあるのか
  3. まとめと展望