非線形CAE勉強会

第41期非線形CAE勉強会・シラバス

 

「基礎から学ぶ【解ける問題,解けない問題】」

第3日目(2022/11/26(土) 9:30〜17:00)

3-1 連続体の力学
※途中休憩時間を含む
〔京谷孝史(東北大学)〕
  1. Cauchy応力テンソルとつり合い式
  2. 変形勾配テンソル
  3. 有限ひずみテンソルと微小ひずみテンソル
  4. 構成則の役割(微小ひずみ理論を例に)
  5. 仮想仕事式
  6. 種々の応力テンソル
  7. および上記に関連した数学の基礎

※上記の内容を,4日間に分けて講義します

3-2 流動的な物体・材料を粒子で解く
〔浅井光輝(九州大学)〕

SPH、MPS法などの粒子法は、「メッシュを必要としない」ため、有限要素法などのメッシュ型解法で困難となる物体の分離・融合、大変形問題に有効となることが利点であることは書籍等の触れ込みで書かれている通りである。この恩恵を受ければ、例えば固体が流体へと相変化する過程、あるいは激しい流体と固体の連成問題など、メッシュ型解法では解けない問題を豪快に解くことができる。特に、流動的な材料を扱う場合にはその威力を発揮する。この講義では、粒子法ならでは計算結果を紹介すると同時に、それに至るまでの困難さなどの裏側の解説をすることで粒子法の良いところ、これからまだ開発すべき事項の理解を深める。

  1. 固体と流体の違いとは?
  2. SPH・MPSの違いと共通点
  3. 高精度粒子法の最近の動向
  4. 流体・固体の連成解析事例
  5. 流体・粒子の連成解析事例
  6. 固体から液化する相変化解析事例
3-3 オイラー型固体解析の基礎とその産業応用
〔西口浩司(名古屋大学)〕

従来的な構造解析では,構造の変形に計算メッシュが追従するラグランジュ記述に基づく有限要素法が用いられている.一方,オイラー型解法は,空間に固定された計算メッシュを用いて固体や流体を解く計算方法である.従来的な有限要素法と比べて,詳細な計算メッシュ分割および移流計算が必要であることから,オイラー型解法の計算負荷は大きく,かつては実用的問題の数値解析は困難であった.しかし,スーパーコンピュータ「京」「富岳」をはじめとする超並列スーパーコンピュータの指数関数的な性能向上により,近年は実用的な数値解析が可能になりつつある.さらに,直交メッシュに基づくオイラー型解法は,従来的な有限要素法と異なり,超並列スーパーコンピュータで高い並列化効率を得ることが可能であり,その計算メッシュはボクセルデータであることから,深層学習との親和性も高い.本講義では,超並列スーパーコンピュータに適したオイラー型解法と現状と今後の可能性について紹介する.

  1. 従来的な有限要素法では「解きにくい問題」
  2. 超並列スーパーコンピュータでこそ「解ける問題」
  3. オイラー型構造-流体統一解法の概要
  4. 超並列スーパーコンピュータに適した階層型直交メッシュ法
  5. 応用例@:衝撃吸収構造と気流の強連成シミュレーション
  6. 応用例A:深層学習による弾塑性衝突解析のリアルタイム評価
  7. 応用例B:大規模な非定常浸水シミュレーション
  8. 今後の展望:Capability computing, Capacity computingと深層学習