非線形CAE勉強会
第47期非線形CAE勉強会・シラバス
「最適設計とCAE 〜理論と展開が導くCAE最適設計の実践〜」
第4日目(2025/12/20(土) 9:30〜17:10)
| 4-1 | 構造最適化ソフトウェアの実用化と活用例 〔月野誠(くいんと)〕 |
本講義では、構造・振動・熱問題等を対象とする汎用構造最適化ソフトウェアの開発元としての立場から、ソフトウェアの仕組みや実用に供するための工夫、活用例等についてご紹介します。
- 構造最適化ソフトウェアの概観
- 最適化アルゴリズム概説
- 実用化のための工夫と技術
- 構造最適化の活用例の紹介
| 4-2 | 構造の形状最適化から非破壊検査への応用 〔倉橋貴彦(長岡技術科学大学)〕 |
本講義では,トポロジー最適化(密度型,レベルセット型)における検証結果を紹介し,非破壊検査への応用,また機械学習による構造内欠陥の有無の同定の方法論について説明する.
- トポロジー最適化
- 1.1 密度型トポロジー最適化
- 1.2 密度型トポロジー最適化に基づく定式化
- 1.3 計算の流れ:密度型トポロジー最適化
- 1.4 解析例
- 1.5 レベルセット型トポロジー最適化
- 1.6 レベルセット型トポロジー最適化に基づく定式化
- 1.7 計算の流れ:密度型トポロジー最適化
- 1.8 解析例
- レベルセット型トポロジー最適化の非破壊検査への応用
- 2.1 欠陥トポロジー同定解析の定式化
- 2.2 反応拡散方程式を用いた欠陥トポロジーの更新
- 2.3 計算の流れ:欠陥トポロジー同定
- 2.4 解析例
- 2.5 機械学習による構造内欠陥の有無の判定(簡易モデルによる概要説明)
- 2.6 重み係数およびバイアスの同定解析:欠陥有無の同定解析に対する機械学習の適用
- 2.7 計算の流れ: Adamによる重み係数wの同定
- 2.8 解析例
- おわりに
| 4-3 | 構造設計のための3D生成AIの基礎と応用 〔西口浩司(名古屋大学)〕 |
本講義では、構造設計の分野における3D生成AIの最新動向を概観し、特に力学的パラメータに基づいて形状を生成するAI技術の基礎と応用可能性について解説します。DeepSDFをベースとした深層生成モデルの仕組みを理解し、製品設計への活用に向けた知見を得ることを目的とします。
- 構造設計における課題と生成AIへの期待
- - 近年の生成AIの概観
- - 3D生成AIとは?(画像生成AIとの比較、Text-to-3Dの現状)
- - 国家戦略としての「AI for Science」:米国エネルギー省/文部科学省AI for Science会議からのインサイト
- 構造設計のための3D生成AI:なぜ難しいのか?どう実現するのか?
- - 既存の3D生成AIの限界:力学的情報の欠如
- - 力学的情報を持つ大規模データセットの必要性
- 3次元形状の深層表現モデルの基礎
- - 3次元形状のデジタル表現:多様なアプローチ
- - 符号付き距離関数(SDF: Signed Distance Function)とは?
- - DeepSDF:SDFを学習するニューラルネットワーク
- - ネットワーク構造(デコーダ型)
- - 入力(座標)と出力(SDF値)
- - 学習プロセス(損失関数)
- - 潜在ベクトル (Latent Vector) による多様な形状の学習と生成
- - 単一ネットワークで複数形状を表現する仕組み
- - オートデコーダ型アーキテクチャの考え方
- 力学的パラメータに基づく3D生成AIへの拡張
- - 構造設計への応用を目指したDeepSDFの拡張
- - 力学的パラメータ(ひずみエネルギー、荷重方向、体積、寸法等)の入力
- - ネットワークアーキテクチャの工夫
- - 力学的パラメータと潜在ベクトル、座標情報の統合
- - Positional Encodingによる高周波形状の学習促進
- - 学習済みモデルの性能検証
- - 汎化性能:未知の形状をどの程度正確に再構築できるか?
- - Parameter-to-3Dタスク:指定した力学的パラメータを満たす形状を生成できるか?
- - 構造設計への応用を目指したDeepSDFの拡張
- 応用例と今後の展望
- - 構造設計への応用イメージ
- - ギガキャスト構造のような一体成型部品の設計支援
- - 衝撃吸収特性など特定の性能を持つ部材の形状提案
- - 今後の研究開発の方向性
- - より複雑な力学特性や製造制約の考慮
- - 大規模言語モデル(LLM)との連携による対話的設計インターフェース
- - 自律的な学習・最適化
- - MCPを用いたマルチ・エージェント型AIによる研究開発
- - まとめ:3D生成AIとエージェント型AIが拓く未来の構造設計
- - 構造設計への応用イメージ
| 4-4 | CAE×データサイエンスを成功させるための”物理”の必要性 〔浅井光輝(九州大学)〕 |
モノづくりではCAEはあたり前の技術となり、トポロジー最適化により計算機が新しい構造形態を創成し,その形態をそのまま3Dプリンタにて造形することができる時代になってきた。一方、CAEへの要求も高まり、複雑な現象を解く、また3Dの詳細な計算結果が求められ、計算時間は増加の一途をたどる。同時に、昨今では生成系AIなどの機械学習(ML)の進歩は著しい。なかでも、先の物理の数値計算をMLへと転換しようとするScientific MLという分野が隆盛を極めている。本講義では、Scientific MLで注目されている技術の一つPhysics InformedNeural Networks(PINNs)について紹介する。そして、正しく使いこなすには、機械学習だけでなく、“物理(非線形力学)”の知識が重要性となることを、実例をもとに解説する。
- 一般的な力学計算の手順のおさらい
- Neural Networkによる力学計算の戦略の種類
- PINNsとその特徴
- 3.1 損失関数の設計
- 3.2 自動微分の意味と役割
- PINNsの改良事例
- 4.1 損失関数における重みの自動チューニング
- 4.2 境界条件処理の精度向上
- 4.3 不連続性物理の扱い方
- 4.4 外挿性について

